名前は、まだない。

you can ( not ) redo.

2021


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今年もまた年が暮れようとしている。

2021年はどういう年だったかと言われると難しいが、とりあえず1TD決めた年だったとでも振り返ろうか。キックも決めて7点だ。

 

2020年はやっとこさ2021年の対岸に辿り着いたな、の印象がとにかく強かった。けれども今年に関してはスイスイと2022の彼岸まで泳いでいけた。それも少し周りを見る余裕を持って。

それは恐らく仕事に"慣れた"からだと思う。単にルーティンの一部と化したとかではなく、より高い理解を持って仕事に臨めたというか。一つ一つの作業や数値の動きにどんな意味があり、どのような作業を行えば正しくあるべきものに仕上がるのか。それが段々分かり始めたのがこの2021年という年であり、総括かもしれない。

 

皆は元気にしているだろうか。

コロナ禍が云々の前にとにかくそんなに多くの友人がいる訳でもないので、どこかに出かけるとかご飯を食べるとかそういう機会があまり無く、インターネット上の声でしかその様子が分からない。

悪く言えば老人ホームのようであり、こちらから出かける意志を示さない限り施設に居続けるしかない。これは単に悪く言っただけかもしれない。

 

以前、もう誰とも会えなくなるのだろうかと書いたことがある。皆それぞれパートナーがいて、帰るべき家があり、守るものができた時、独身貴族の我々に割かれるリソースなどあるのだろうかと考えてしまう。

寺山は、『思い出されるためには 忘れられなければならないのが いやなのです』と書いた。『あゝ、荒野』では、バリカンは新次と"のっぴきならない関係"を築くために、新次との試合での死によって新次の意識に「間借り」する。苛烈ではあるが、新次にとっては忘れられない出来事であろうし、寺山の言うようにバリカンのことを「思い出す」ことはないだろう。

ここまで激しい関係を築くことは困難だが、「思い出」されたくないなとは思う。なので何か定期的にご飯とか行きましょう。

 

巻頭文はこんなもので。

いつも何書けばいいか分からなくて迷走しがちなのでもっと上手くなりたいね。ここから先は買ってよかったものや摂取したカルチャー、日記などを書いていきます。

 

○買ってよかった2021

ソニー ワイヤレスイヤホンWF-1000XM4

いわゆるワイヤレスイヤホンをずっと買おうずっと買おうと思って、この夏ようやく購入。イヤホンはSONYのがいいって決めていて、これの1世代前のやつにしようか迷ってた時にちょうど新作が出るとの事だったので迷わずこちらに。とにかくノイズキャンセリングが効くので、集中して音楽を聴いたり映画を見たりできる。充電の持ち自体も悪くなく、サイズも小さいので持ち運びも楽。再生/停止が右のイヤホンをタップするだけでできるので、買い物の際レジで対応する時もわざわざイヤホン外さなくとも会話が成り立つのでかなり重宝している。

特にこのワイヤレスイヤホンの特徴は「自動風ノイズ低減」の機能だと考える。どうしても風が強い日などはイヤホンをしていても風切り音で聴きづらくなる時もあるだろう。そんな時この機能をオンにするだけで、かなりノイズが低減され聴きやすくなる。外に出る時はずっと音楽を聴いてる性分なだけに、この機能は大変ありがたい。何があってもお前に良い音届けるからな!のSONYの気概を感じる。曲を"浴びるように"聴きたい場合、没入感を体感出来るこのワイヤレスイヤホンは本当にオススメ。世界が自分と曲とだけに切り離される。

 

・HARISONS 6Bダブルスーツ

写真は無いが、また今年もウールのスーツを仕立てた。去年は段返り3Bのウール3pスーツ(チェンジポケット付でスラント入)を仕立てたが、今年は趣向を変えて6Bのダブルにした。ブラウン系の生地を探してたらちょうどHARISONSの生地があったことから即決。

最近の生活はBritish Gentlemanをコンセプトとしてるので、サヴィル・ロウでも定番のこの生地を選べて良かった。

せっかくダブルを作るので、ラペル幅は10.5cmに。ゴッドファーザーpart.1で皆ぶっといラペルのウールのダブルスーツを着ていて、それに憧れがあったことから今回はこの幅でオーダー。ボタンはこれまたサヴィル・ロウでしか使用されてないとされる2穴ボタンで統一。黒にしたことで結果的に引き締まった印象となり、自分のやりたいようなスーツが出来た。

オーダーだと吊しでは売ってないような生地と形のスーツが作れるのでかなり楽しい。完全に自己満足でしかないし、それなりに値も張るが、社会人生活の楽しみの一つだしここはひとつご愛嬌ということで。

 

○摂取したカルチャー2021(本篇)

今年は以下の本を読んだ。

NHK 100de名著『ディスタンクシオン』(岸政彦)
・『「私は甘えているんでしょうか(27歳OL)」』(村上龍)
・サキ短編集(サキ)
フィッツジェラルド短編集(フィッツジェラルド)
・春にして君を離れ(アガサ・クリスティ)
・ケーキの切れない非行少年たち(宮口幸治)
・BUTTER(柚木麻子)
・表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬(若林正恭)
・私は散歩とごはんが好き(犬かよ)(平野紗季子)
風の歌を聴け(村上春樹)

 

本はすごい買う癖に読むのは遅遅として進まないので結果的に積み本が200冊くらいある。

年初頃岸先生が100分de名著にご出演になり、ブルデューの『ディスタンクシオン』の話をしてたことからテキスト買って読んだ。岸先生今年は大躍進というか、『東京の生活史』も無事上梓され、『リリアン』で織田作之助賞の受賞があり、充実の年なのではと推察される。また去年から引き続き村上龍をちょぼちょぼ読んだ。去年は『空港にて』で正直面食らってしまった感じがあるが、『「私は甘えているんでしょうか」〜』はエッセーで読みやすく、またキューバの話がほぼほぼで読んでて楽しい。後述の『表参道の〜』もそうだが、今年は何かとキューバ関係を摂取した趣がある。

フィッツジェラルドは最高の作家だと思っていて、WW1からの復興目覚しいアメリカの、狂騒の20年代を巧みな叙述で雰囲気丸ごと紙面再現している。今回読んだ短編集は以前読んだ光文社古典新訳文庫版(『若者はみな悲しい』これもタイトルが最高。)と一部内容が同じであり、訳の違いを楽しむために読んだ節がある。特に両者に掲載のある『坊っちゃん』については、20世紀最高の中編小説と言っても過言ではないと考えている。享楽や繁栄の様子と、それが瓦解して堕ちていく姿を描かせたらピカイチ。サガンの『悲しみよこんにちは』も、ヘミングウェイの『日はまた昇る』もそうだけど、何であんなに欧米の享楽的な生活って魅力的なんだろうな。

夏頃までは試験があって特に何も読めず、終わってすぐ柚木麻子の『BUTTER』を読んだ。これまた結構重めだが、いくつか良いフレーズがあった。料理のシーンもかなりあり、読了後はレシピの再現とかをやった。おかげで少し太った。

『表参道の〜』は湯河原旅行中に読んだ。キューバもデジタルデトックスという感じで良かったが、アイスランド編も温かみがあり良い話だったと思う。旅先でも交流があったりするのはやはり名のある芸人ならではになるのだろうか。そう思うと芸人はつくづく逆進性に富んでいると感じる。名がある人の下には色んな人が集まって面白い出来事が起こるだろうから、話のタネが増えてまたそれを元にテレビやラジオで話したりすることでまた人が集まって……。

『私は散歩とご飯が好き(犬かよ)』はご存知平野紗季子大先生のムック本です。『味な店』も上梓されて大変めでたく、更には(NO)RAISIN SANDWICHの毎週発売もあり、平野紗季子推しとしては飛ぶ鳥を落とす勢いでの活躍に感涙している。本当はこのムック本に載ってる店を毎週末ごとにブラブラ散歩がてら行ってみるのをやりたいが、そう上手くはいかず、歯痒い思いをしている。

風の歌を聴け』はダブル村上の双璧をなす村上春樹を何となく読んでなかったことから「そろそろ読むか……」の気持ちで読んだ。やれやれ系文学の極北を往く村上春樹氏のデビュー作とのこと。表紙の絵がいいよね(内容ももちろん)。こういう放蕩をしたい。

 

○摂取したカルチャー(映画篇)

・mid90s
・シン・エヴァンゲリオン
・レイニーデイインニューヨーク
15時17分、パリ行き
プレデター
oasis Supersonic
マネーボール
・ゼロダークサーティ
・Godfather part.2
・Eyes wide shut
ノマドランド
攻殻機動隊
イノセンス
・ダンサーインザダーク
・ストーリーオブマイライフ 私の若草物語

 

映画始めに年初の早稲田松竹で『mid90s』を観た。A24もそれこそ飛ぶ鳥を落とす勢いで新たな映像作品を作っており、どれも面白そう。これを観て今夏のスケボーを観ると、ストリートにあるものを画一化して点数付けをし順位を決めることの滑稽さが少し浮き彫りになる(あれはあれで競技性があって良かったですが)。女子の部でフィリピンから出場している子が、自分も相手も、技が失敗しても成功してもとにかく楽しそうにしていたのが印象的だったが、あれが恐らく本来あるべき姿みたいなものなのだろうなと感じた。権威主義的なものに対するアンチテーゼとしてのストリート。その精神をこの映画に強く覚えた。ナケル・スミス(レイ役)の滑りがカッコイイんだこれ。観て欲しいね。

今年はなんと言っても『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』でしょう。初回IMAX以外は違う気がして、わざわざ有給取って京都まで観に行った。エヴァンゲリオン新劇場版、とりあえず完走したな……長かったな……。産みの苦しみだとは思うけどすごくいい話に納まったので良かったんじゃないんですかね。賛否あるみたいですけども。

これに尽きる。

 

『Call me by your name』以来ティモシーシャラメに魅了されたヲタクであるので、『レイニーデイインニューヨーク』も『ストーリーオブマイライフ 私の若草物語』も観た。ティモシーは金持ちの放蕩息子やらせたら右に出るものは現状居ないってほどに役と演技があっている。だからこそ『DUNE/砂の惑星』で主演ティモシーの話聞いた時は少しガッカリもした。食わず嫌い激しいのでまだ観れていないがあれはあれで面白いらしい。

あとはそれなりに興味があったやつとかをちらほら。ようやく『攻殻機動隊』と続編の『イノセンス』が観られて満足。90年代アニメのあのセル画の感じは何とも言えない魅力がある。押井守が云々っていうサブカル話題あるあるに食いついていけなかったが、なるほどこれが押井作品で皆話題に挙げるのか、と合点がいった。僕は岩井俊二の方が好きかもしれない。パトレイバーの映画版1,2は今年BSで再放送があったことから録画しているがまだ観れていない。パトレイバー自体話の内容がイマイチなので予習してから臨みたいところ。

 

○摂取したカルチャー(音楽篇)

今年発売のアルバムで個人的にはこれがベストだった。

北米のオルタナナティブなバンドの隆盛が著しい昨今ですが、中でもThe mariasはまだ日本でもあまり知られていない模様。今回は『Talk to her』が結論としては非常に心に残る曲だった。全編通して聞いた上で最後この曲を配置するイヤらしさ。聞いてもらった方が早いが、3拍子のワルツが主体で、語り調の曲となっている。その他『Un Millon』『Fog as a Bullet』もオススメ。

 

One (feat. tofubeats)

One (feat. tofubeats)

  • STUTS
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255

12月に駆け込みでよく聴いたものに滑り込んできたが、『大豆田とわ子と三人の元夫』でもおなじみSTUTS氏が年末に出した新作。歌うトラックメイカーとして、やはりtofubeats氏との共作は避けては通れない所なのか。tofubeatsパートの"探してる未来の先は何だろうな 分からないけど頑張ろうか"のverseも良いし、STUTSパートのverseも良いし、Hookも最高。クラブに限らずどんな場所でも「踊る」ことを思考してきたtofubeats氏だからこそ書けるHook("どんな動きでもDo your Dance")だよな、としみじみしてしまった。

 

その他色々聞いて書きたいものはあるけど、とりあえず多くなりそうなので一旦ここまで。

 

○日記

・試験関係の報告と仕事のこととか

ご承知おきでない方もいると思うので前提から書くが、現在会計事務所で働きつつ、税理士試験の合格を目指している。税理士試験は会計科目2科目(必修)、税法科目3科目(選択必修1、その他2)の計5科目合格で税理士として登録できるようになる、という仕組みだ。2021年の試験は8月お盆明けに行われ、つい先日(12/17)に結果が郵送されてきた。今回は会計科目のうち財務諸表論と呼ばれる科目を受験し、見事合格。昨年もう1科目の簿記論を合格しているため、晴れて会計科目の必修は全てクリアしたこととなる。来年からはいよいよ税法だが、やっていかなくてはならない事には変わりないので、引き続きやっていく。これが冒頭書いた1TDの話。

他の大会社のことが全く分からないので、自習無しに仕事に向かって何となく成り立っていることにかなり驚いた覚えがある。いわゆるOJTで何となく賄えて現状の仕事にアサイン出来るんだなぁと。勉強しなくてもやって行けるなら、その分可処分時間が増えるから好きなこと出来るしいい事だと思う。どっちが良いとかではなく、自分は今の道が向いていただけという話だが。

 

・アメフトの話

こいついつもアメフトの話しかしてないなとお思いでしょうが、NFLは本当に毎試合面白い。日本国内でもリーグがあってやっているが、如何せんしょぼく見えてしまう。それはスタジアムが野球場で満員でないとかプレーが微妙とかそういうことに起因するのかもしれない。スケールの話なような気がしている。が、もし本場に行ってフィールドを見たら俺もガッカリするのだろうか。パリ症候群のように、期待と実際のギャップに打ちのめされてしまうのだろうか。

先日大学日本一を決める甲子園ボウルが中継であったので見た。カレッジフットボールアメリカ本土でも絶大な人気を誇り、プロとも遜色ないプレーをする(だからこそプロ入り後即戦力として活躍できる訳だが)。試合は関西学院大学が優位に進めていたが、アメリカの、大柄な選手が全力でぶつかり合ってもランで2ydくらいしか進まないみたいなことがあまり無い。なんかすごいランで進む。全然パントも高さ低いし、ほぼリターナー目掛けて蹴ったりしており、ガラパゴス化が進んでいるように思えた。インターナショナルコンバインとかでNFL目指す人もいる中、これでいいのかJAPAN……。とは言え年明けのライスボウルは観に行く。アメフトは生で見た方が面白いからね。

 

というわけで、今年の総括になります。

「興味があることとないことの差がすごくはっきり態度に現れますよね」と言ったのは今年入ってきた後輩の子だったが、ご指摘の通りで興味があることない事のメリハリが強い。in the blue shirtことアリムラさんはブログで、"おもんないアニメなんてない、おもんないのはお前だけ"と書いていた。おもんないのはお前が対象に面白みを見出せてないだけで、真の面白みみたいなものはあるはず。それを見出せるのは当人の"幅"みたいなもので、来年はそこ広げないとなと思っている。

皆様良い年をお迎えください。それでは。